統合失調症ってどんな病気?
考えや気持ちをうまくまとめることができない状態が続く精神疾患の1つです。
現在、国民の約1%が統合失調症であると推定されています。
(ヤンセンファーマ株式会社.”患者さんの数”.統合失調症ナビ.2019-03-22. (2022-02-28))
特に、思春期から40歳くらいの若い世代に多く見られます。
薬物療法、精神科リハビリテーションなどにより、治療が可能です。
統合失調症の症状
統合失調症の症状は、大きく以下のように分けられます。
陽性症状
幻覚
- 他の人にきこえない音や声がきこえる(幻聴)
- 他の人に見えないものが見える(幻視)
妄想
- 明らかに本当でないこと(テレビで自分のことが話題になっている、カメラで監視されている)を、客観的根拠なく強く確信する
陰性症状
- 意欲の低下
- 喜怒哀楽の感情や表情が乏しくなる
- 人に共感できない
- 外出しなくなる
- 身だしなみを気にしない
- 抽象的な言い回しを理解できない
認知機能障害
- 記憶力の低下
- 集中力の低下
- 判断力の低下
不安・抑うつ
- 気分の落ち込み
- 不眠
統合失調症を発症する原因
統合失調症の原因については、未だはっきりしたことが分かっていません。
ただ、脳内で情報を伝達する神経伝達物質のバランスが崩れること、ストレスなどが関係しているといった指摘があります。
統合失調症の経過
統合失調症は、基本的に以下の経過をたどります。
前兆期(病気の始まりの時期)
発症の前兆として、眠れない、音・光への過敏、焦燥感の増幅などの症状が見られることがあります。
ただしこれらはいずれも多くの人が経験するものであり、ご自身で統合失調症と結び付けることは困難です。
急性期
(幻覚や妄想が激しくなる時期)
不安、緊張、過敏が強まり、幻覚や妄想など統合失調症の陽性症状が現れます。
症状の程度によっては、入院が必要な場合もあります。
休息期
(意欲の低下、感情の起伏が
乏しくなる時期)
急性期を過ぎると、感情や表情の起伏が乏しくなり、意欲の低下などの陰性症状が顕著になります。精神状態が不安定にあることは変わりなく、ちょっとしたきっかけで急性期の状態に戻ることもあります。
回復期
無気力な状態から脱していく段階です。
ただし、ここまでの治療がうまくいかなかった場合などには、認知機能障害が残ることもあります。その場合は、残ってしまった認知機能障害を取り除いていくことが必要です。
統合失調症の治療法
薬物療法
抗精神病薬によって、幻覚・妄想を抑えます。
現在、数十種類もの抗精神病薬がありますので、患者さんに合ったものを処方いたします。
作業療法
主に、認知機能障害が残った場合に行われる治療です。
生活技能訓練(SST)
日常生活における苦手な場面を想定し、さまざまな技能訓練を行います。
地域での社会復帰活動
本格的な社会復帰を目指し、デイケア、ナイトケア、小規模作業所などを活用します。
ご家族へのサポート
患者さんのみならず、ご家族にも相当の負担がかかるかと思います。
どのように接していけばいいのか、支えていけばいいのか、全体的・具体的に当クリニックがサポートして参ります。