依存症ってどんな病気?
依存症とは、特定の行為や物質の摂取を繰り返しているうちに、脳がそれらの行為・物質のことばかりを考え欲するように変化してしまうことを指します。
やめようという意識も働きますが、イライラ、不安、手の震えなどの離脱症状に見舞われ、またすぐにその行為・物質の摂取を繰り返してしまいます。そこからの自力での脱出は、極めて困難です。
食事を摂らない、身だしなみに気を遣わない、出社・登校できない、人に暴力をふるう・暴言を吐くといった状態に至りそれが続くと、職場や学校、あるいは家族との関係が破綻してしまうこともあります。
当クリニックでは、これら依存症の診断と治療を行っています。また必要やご希望に応じて、各専門医療機関、施設、自助グループなどと連携いたします。
※当院は依存症専門の医療機関ではありません。
※当院では依存症のプログラムは行っておりません。薬物療法がメインとなります。
依存症の種類
アルコール依存症
長期にわたる飲酒によりアルコールが欠かせない状態です。アルコールがないと気分転換ができず、気分が塞がってしまうため、さらにアルコールを求めて飲酒量が増えていきます。
仕事中や出社前の飲酒が我慢できなくなるほど悪化して退職に追い込まれたり、別居や離婚に至るケースもあります。健康への影響も大きいため「このまま飲むと命を落としますよ」と告げられても、飲酒が辞められないこともあります。
薬物依存症
覚せい剤、大麻、麻薬(ヘロイン、モルヒネなど)、シンナーといった依存性をもつ薬物を繰り返し使用し、やめたくてもやめられなくなった状態です。
離脱症状から再度薬物に手を出すことで依存性がさらに高まります。薬物が何よりも重要なものとなり、衣食住が後回しになります。大切な家族や友人、職場、健康を失うリスクが非常に大きく、また上記に挙げた薬物の所持は当然ながら違法です(シンナーも吸入目的であれば所持のみで犯罪となります)。
依存症になる原因
最初はすぐに日常に戻れるものの、強い不安や苦痛から逃れるために依存性のある行為や物質に頼ることを続けていくと、いざ頼れないときに離脱症状を起こすようになります。
そしてその離脱症状から脱するために、またアルコールや薬物へと戻ってしまうのです。
この頃には、依存した行為や物質から自力で脱することが極めて困難になっています。楽しい時間を過ごしたい、嫌なことを忘れたいという誰もが抱く感情がきっかけになってしまうのが、依存症の恐ろしさです。
依存症になりやすい人とは
強い不安や苦痛を感じている人
不安や苦痛を感じている人は、意識的・無意識的にそこから逃れようとします。
そのための手軽な手段として、依存性のある行為や物質に頼ってしまいます。
その行為・物質に助けられたと
感じている人
私たちは誰でも、楽しいことだけでなく、辛いことも経験します。
辛い経験をしたとき、アルコールや薬物によって「助けられた」と感じている人ほど、それらの行為・物質から離れにくくなります。
真面目な人・几帳面な人
依存症というと、だらしない人がなるというイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、真面目な人・几帳面な人ほど、依存症のリスクが高いと言われています。実生活で手を抜くことができない、人に頼れない(抱え込んでしまう)といったことから、不安や苦痛が強くなるためと考えられます。
脆弱性遺伝子を持つ人
脆弱性遺伝子を持つ人・多い人は、そうでない人よりも依存症になりやすいと考えられます。
依存症の治療法
※当院は依存症専門の医療機関ではありません。
※当院では依存症のプログラムは行っておりません。薬物療法がメインとなります。
認知行動療法
依存症の治療においては、主に認知行動療法を行います。
まず、飲酒する、薬物を使用するといったことが、依存症の原因の報酬(快楽、苦難からの逃避)にあることを理解します。その上で、自身にとっての引き金は何なのか、考え方の傾向、それに伴う行動を振り返り、別の方法で対処する訓練を行います。この訓練の継続によって、「〇〇がなくても大丈夫」という思考を強化していきます。
薬物療法
アルコール依存症の場合は、身体がアルコールを受け付けにくくする抗酒剤、アルコールへの欲求をコントロールする飲酒欲求抑制薬などを用いた薬物療法を行います。
集団療法
10人程度のグループで、それぞれの依存症や経験、過去や現在の考えなどを語り合います。
共感を得て、受容されることで、回復へとつなげます。
自立支援施設の利用、
自助グループへの参加
依存症の方の回復と自立をサポートする自立支援施設、同様の悩みを持つと当事者同士で運営される自助グループなども、必要に応じてご案内いたします。